先週の日経ビジネス。
識者に聞くのコーナーに登場されていた、
暗黙知で有名なの野中郁次郎一橋大学教授のインタビューが、
考えさせられる内容だったので、
拝借し、備忘録としたい。
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「資本主義の本質を、
イノベーションによる不断の発展過程ととらえた
経済学者シュンペーターは、
その担い手を、
既存構造の破壊と新たなシステムの創造を遂行する
“アントレプレナー”と位置づけた。
しかし、
日本経済や日本の企業経営においては、
異なる特有の展開を見せてきた。
それは、
松下電器産業の創業者である松下幸之助氏が唱えた
“衆知経営”の概念に端的に表れている。
彼は、
“最高の経営は衆知による経営である”
として、その実践を社員に訴え続けてきた。
このように社員一人ひとりが実践的な知恵、
すなわち実践知を高めるにはどのような能力が必要なのか。
第1に、
現場での“即興の判断力だ”。
その出発点は、何が“善いこと”なのかという、
共通善の価値基準を持つことである。
~中略~
この即興的な判断力の妨げになるのが、
米国流の経営に強く影響を受けた、
分析至上主義と過剰なコンプライアンスだ。
分析もコンプライアンスも必要だが、
日本企業は傾倒しすぎて、
現場での実践知を弱体化させている。
実践知を高める第2の条件は、
“凡事の非凡化”
である。
企業が直面する多くの混乱や困難を乗り越えるには、
イノベーティブな試みが必要になる。
ただ、イノベーションは、
やろうと思い立って起こせるものではない。
日々の仕事という凡事の連続が蓄積していく中で、
ある時非連続が生まれ、
凡事が非凡化する。
それがイノベーションにほかならない。
その変化は、
日々の凡事を積み重ねているから気づくことが出来る。」
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なるほどと思うと同時に、
これからの時代に求められている経営スタイルとは何だろうと、
思いを巡らせてみた。
あらゆるものがオープンになり、
ハード面やインフラ面が激変する中で、
“衆知”のあり方自体が変化している。
インターネットは暗黙知を超えないのかもしれないが、
暗黙知を形成するなかで、
インターネットが果たす役割は、
今後、もっと増えてくる。
googleをみても、
フェイスブックをみても、
ソフトバンクをみても、
スタートゥデイをみても、
サイバーエージェントをみても、
成功をしている企業の経営スタイルには共通項があると思う。
きっと、
この両側面を兼ね備えた、
ハイブリッドな経営が求められていくのだと、
思ってみたりする。