トイレの話

去年はやったトイレの神様じゃないけど、

僕は、

オフィスの掃除、

とりわけトイレの掃除を、

すごく大切にしている。

大学1年生のとき、

先輩の紹介で始めた銀座の高級クラブでのアルバイト先でのこと、

何十年も経過しているお店だけに、

店内のいたるところがぼろくなっており、

先輩たちが手を抜いていたこともあって、

トイレがすこし汚かった。

「掃除をきちんとするように」

と、指導をして頂いていたこともあり、

アルバイト開始後は、

トイレ掃除を徹底的にやった。

汚いと思われてしまうかもしれないけど、

和式のトイレの水が溜まるところにもガシガシ手を突っ込んで、

毎回汗をかくくらい全力で磨いた。

何十年も使用されたそのトイレは、

サビやこびりついた汚れは取れないものの、

どことなく風合いがあってだんだん好きになっていった。

ある時、

オーナーママが言った。

ママ:「マネージャー、今日おトイレを掃除したのは誰?」

マネージャー:「中山君です。」

ママ:「中山ちゃん、すごく綺麗よ。いつもありがとう。」

何回かそういうことがあり、

嬉しくなって更に全力で磨いていたら、

また別の日に常連のお客様が、

「ママ、いつもトイレ綺麗だね。

便器が割れてボロボロだけど綺麗に掃除されてるよ」

と言ってくださった。

そうしたらママが、

「○○さんありがとう。

あそこに立っている中山ちゃんが一生懸命掃除してくれているのよ。」

と、僕のことを紹介してくれた。

そして、

「中山ちゃん、ここに来てご挨拶しなさい」

と言って、お客様のいらっしゃる席に座らせてくれた。

来店頂くだけで一人2万円以上頂くようなお店だ。

学生バイトが席につくような雰囲気ではない。

ましてはお客様のほとんどが、

上場企業の役員クラス。

ただそんなことはお構いなしとばかりに、

ママはたくさんのお客様に僕を紹介し、

その都度、

さりげなく僕にウィスキーを消費させた。

当社では、

毎週月曜日の朝8時から20分間、

全メンバーでオフィスの掃除を行う。

持ち回りで、

掃除機をかけたり、

溜まった新聞を縛ったり・・・、

それこそ、トイレを掃除をしたりするのだが、

好き嫌いに関わらず、

必ずトイレの掃除は担当してもらう。

(単純に、オフィス清掃が入るようなグレードのビルではないので、

みんなで仲良く掃除をする)

神聖なビジネスの城なので、

常に綺麗にしていないと落ち着かないと言うのもあるが、

大変さを自らの体験をもってして理解しないと、

「誰かが掃除してくれるだろ」の精神だと、

よい仕事はできないと思っている。

そして、

汚しても気がつかない。

偉そうなことはいえないけど、

ビジネスには、

「主体性」

と、

「些細なことに気付ける感性」

と、

「気配り、思いやり」


が、すごく大切だと思っている。

日常の掃除を通じて、

感性を磨き、

心も綺麗にする。

月曜日の朝一に、

スイッチを入れるためにもいい。

移転先のオフィスは、

共用部の清掃は管理会社さんがしてくれるらしいけど、

今と変わらず、

月曜日の朝は全員でトイレを含むオフィスの清掃から始めようと思う。

トイレは、

毎日ピカピカの方がいいきらきら

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