初任給で見る“収益構造”と“経営テクニック”

ちょっと前のこと。

何気ない雑談の中で、

“給料”にまつわる話題で、

2回、

盛り上がった。

一つは、

医療・介護業界特化型の人材ビジネスで急成長中の、

SMSさんの初任給。

その額なんと年俸500万円(2年間固定)



もう一つが、

グループ会社のメンバーの1人が、

ワークスアプリケーションズさんに転職するらしく、

新卒丸2年、

24歳で転職したKが提示された年収が、

年俸550万円!

その数字を聞いた若いメンバーが、

思わず「高っショック!!」


と一言。

無理もないガクリ

ただ、

ここで終わってしまってはただのフツー君。

持たなければいけない視点は、

何故、それが可能なのかという分析と、

何故、そのような給与制度にするのかという考察

前者は簡単で、

・属人的要素を極力排除できたか、

労働集約的要素を持ちつつも、

マーケット構造的に高い利益率を維持できる構造



・仕組み(ビジネスモデル)による安定(≒ストック)収入があり、


高い利益率を実現しているから


大体この2点に尽きる。

ワークスAPで売上200億円、営業利益34億円。

営業利益率は17%。

クライアントは大手企業を月額の安定収入を確保。

実績が無い中で実績を作ってきた、

TOPレイヤーの営業マンの賜物である。

SMSで、売上27億円、営業利益4.2億円。

営業利益率は15.5%だ。

医療・介護業界という昨今では珍しい成長マーケットの中で、

一つポジションを確保した格好。

今期はもっと行くだろう。

次に、

何故、そのような給与制度にするのかという視点。

それは、

両経営陣が共に、

「人材採用にめちゃくちゃ力を入れているから」


に他ならない。

天井を迎えていないマーケットに目をつけ、

その市場で成功を収め、

安定した収益源を得た以上、

その先には、

固定費以上のスピードで収益が拡大するため、

拡大再生産のための投資に利益の大半を割くことができる。

こんなことは一般論だが、

それに加え、

「人財力≒社員の質」が業績に与えるインパクトが大きいことも、

このような給与形態にしている理由だと思う。

つまり優秀な人材を“採用する”ことが、

事業拡大の肝なのだ。

そこで・・・、

目の中が$マークになっているショック!

メンバーの目を覚まさせるためにワラ

平均年収をサクサク調べてみたところ、

おもしろい数字が、

【平均年収】

ワークスアプリケーションズ  598万円 (平均年齢29.5歳)


SMS  502万円  (平均年齢 28.7歳)




あれ?

なんかおかしいぞ。

さすがに、

本質に気が付くメンバー。

そう、

ワークスに中途採用されたKの場合は、

平均すると、

今から5年間で48万円の年収増。

あくまでアベレージだが、

1年間に年収で10万円程度の昇給。

月給に直すと1万円にも満たない。

ボーナスも入れると6000円~7000円の昇給というところか。

SMSさんに至っては、

初任給で500万円なのに、

28.7歳で502万円って。

更に見てみると、

初任給を上げたのは来年入社の新卒からで、

その前が450万円、

その前が400万円だったよう。

つまり、

優秀な人材を採用するための投資と位置づけ、

一気に高めてきたのだろう。

ただ、

これも含めて経営テクニック。

ワークスさんのライセンスを付与するインターンも、

中途採用で550万円も

SMSさんの初任給500万円も、

数字が一人歩きして、

勝手にバズ広告となる。

個人的に興味深いのは、

この2社のような組織戦略をとっている企業の、

平均年齢が上がっていった時にどうでるか。

同じく初任給を高めに設定することで、

優秀な若手を集め、

圧倒的な量と仕組みで高い利益率を保持しているリクルートは、

30歳を越えたあたりで退職金を出し、

退職を促して平均年齢を維持した。

35歳の1000万円かかるおじさんよりも、

22・3歳で、

めちゃくちゃ飛び込み、

テレアポしてくれる営業マンのほうが、

圧倒的に利益率がいいからしょうがない。

更に言うと、

その戦略さえも、

「人材輩出企業」

という自社ブランディングに活用するあたりが、

さすがの一言。

ワークスとSMSの人材の出口戦略に、

注目だ。

先日の発表で、

今期売上高128億円、経常利益73億円、

経常利益率なんと60%ちかいGREEの平均年収も、

平均年齢28.7歳にして536万円と高い。

ただ、

当たり前だが、

出そうと思えばもっと出せる。

なぜ、

そうしないか。

給与と組織戦略の関係性。


給与戦略と採用のテクニック合戦。

もっともっとたくさんの事例を、

もっともっと早くインプットしなければ、

時代の変化に追いつけないかもあせる

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