先日ニュースアプリに流れてきたこちらの記事
のタイトルを見て思い出した。
(こちらの記事についてはあくまで以前書こうとしていたことを思い出させてくれただけなので何も触れるつもりはなく、)
◯◯離れ論が語られる時の代表格である車離れについて思っていたことを書いておきたい。
若者の車離れは、
当然のように議論されるデフレによる収入の低下や、
それにともなく余暇産業の縮小なども一因であることは間違いないけれど、
それ以上に実は結構シンプルで、
「今の車が魅力的じゃなくなっただけ」じゃないかと前から思っている。
魅力的じゃなくなった理由には2つのある気がしていて、
1つは、
「何十年もハードにイノベーションが起きていないから車自体がつまらない」こと。
例えばちょっと前に発表された空飛ぶ車 がリーズナブルで交通ルールが整えば、
(短期的には)若者だって大勢が買うだろうし、今車を持っていない自分も買うと思う。
GoogleやBMWなど大手自動車メーカーがこぞって開発を進めている全自動車なども、
どんな山道だって無事故で乗れると分かってキャズムを超えれば、爆発的に売れると思う。
魅力的じゃなくなった2つ目の理由は相対的なもので、
「もっと魅力的なものが台頭してきているから」だと思っている。
相対比較するためにも、
今まで車を買っていた人たちが車を買うことで何を“得て”いたのか書き出してみると、
①ある地点に行くための利便性
②そこへたどり着くまでの空間(ex:ドライブ)
③所有欲が満たされるという体験
くらいしかない。
その中において③は、
よく書かれているように、
たしかに所有することによる周囲からの共感は得にくくなってきている気がする。
問題は①と②。
ここに共通しているのは、
「テクノロジーの進化と他のエンターテイメントの台頭の影響」
だと思っていて、
この手の議論に抜け落ちている部分だと思う。
例えば、
「①のある地点に行くための」の「ある地点」とはどこなのか。
それはもちろん仕事場であり、スーパーであり、学校であるわけだけれども、
その中には買い物だったりカラオケだったり温泉だったりスキー場だったりと、
エンターテイメントも含まれる。
それが今の時代はどうか。
ネットでサクサク有名店の商品が買えるようになり、
スマホで手軽に楽しいゲームがインタラクティブに出来るようになり、
家で友人知人とチャットのように楽しい会話ができ、
スーパーからは重い荷物を持つこと無く商品が届く。
DeNAや楽天の球団のマーケティング責任者が「ライバルは居酒屋だ」と定義するように、
車のライバルはいつしかスマホになり、タブレットになり、
facebookになりLINEになり、
そこに魅力的なユーザー体験を提供するコンテンツベンダーになり、
楽天になりアマゾンになり各種ECショップになっただけの話だと思う。
これらのテクノロジーやエンターテイメントの進化によって、
わざわざ移動しなくても便利に楽しく生活を送れるようにしてくれるサービスが多様化し、
「そもそも移動する必要性が減っている」ことが要因だと思っている。
こういう記事もそう。
社内でサービス力を高めても、
本当の敵は全然ちがうところにいる気がしてならない。
誰か、現代人の「移動の距離」について研究してくれないかな。
きっと、そもそも技術の進化と移動距離には高い相関性が有る気がする。
この仮説が合っているかは調査してみるしか無いけれど、
TOYOTAやHONDAや日産は、
イノベーティブなハードを生み出すことと同時に、
『車に乗って移動する“理由”を生み出す』
『デジタルコンテンツでは得られないユーザー体験ができる目的地を生み出す』
ことにも注力したほうが、
新たな需要を喚起できるかもしれない。
写真は昨日たまたまたどり着いた「谷中」。
最高の雰囲気に一気に魅せられたので、
また近々遊びに行きたいと思う。地下鉄で。